心の旅人 序章 1999年晩冬 A.T.Fo.Evertail著 (並丁版)

旅に出よう。

吐き出される、人の波。
西鉄電車の、雑踏の。

旅に出よう。

うずくまる、車の波に。
雨のなかの渋滞の。

一人で食べる、牛丼と、
崩れ落ちそうな夜の、

そんな街から旅に出よう。

ぼくがぼくであることを
みつける旅に。

  おさるさんは、ここで
なにをしているのか?

などというのも、
いらぬおせっかいと
いうものか?

ひとにまじって、
さるの社会の説明を、
係りのおじさんから
きいているやつがいた。
 
あぶないやつか?
 
「そのさるは、スリです、
気を付けて!」
おじさんは、言う。
 
はたして、気を付けるのは
どっちだろ。

     
 

だって、ひとくいぎょ?

大時代的な言い回しに
だって、そういえば
むかし。。。
 
ピラニアは、人食魚だった。

こんなおさかなさんに
なれるのなら、
一度は海の中も
いいかもしれない。
 
 
でもそこが、海じゃないって知った時、
また心の旅が、はじまる。

 

序章 終わり 

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